Archi Future 2018 展示会レポート

「Archi Future 2018」開催

2018年10月26日(金)、東京・有明のTFTホールにて「Archi Future 2018」が開催されました。

この国内最大のBIMイベントは今年で11回目を迎え、年々増加する来場者数を今年も更新しました。設計事務所、ゼネコン、専門工事会社など、さまざまな来場者のBIMに対する関心の高さも同じく増していることが窺い知れます。

▲Archi Future2018開幕

当社もレブロを製品出展し、非常に多くのお客さまにブースでご覧いただきました。

 

セミナー『電気設備を中心とした設備設計におけるBIMの実務での活用』 – BIMの”I”にポイントをおいた、機械設計、意匠/構造との一体化を目指して –

当日のセミナーではレブロユーザーである株式会社日建設計 エンジニアリング部門 設備設計グループ 環境・設備技術部の吉永修様が、BIMを活用した電気設備設計の事例を発表されました。本セミナーは定員である200名を大きく超える受講者で会場が満席となり、立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。

電気設備設計の立場からの発表テーマでしたが、内容としては分野を問わず、設備業全体の参考となる有意義な講演でした。

▲㈱日建設計 吉永様

BIMが持つ情報を設計に活用する手法こそが電気設備での効果を得られるカギと捉え、実案件で取り組んだ事例を元に、BIMを用いた設計手法の利点や課題をご紹介されていました。

紹介された事例では、意匠性を損なわないため、設備設計の可視化が必要であることに加え、電気の設計に必要な意匠・構造・設備の情報が揃うまでに時間がかかり、検討と作図の時間が非常に限られたものだったそうです。検討と作図の効率化が、プロジェクトを成功させる解決法であると考え、BIMを使った設計手法にチャレンジしたとのことでした。

ケーブルラックや照明の取り付け位置を可視化することで、納まり検討などの合意形成を効率的に行い、『照明配置の半自動化』、『機器情報から負荷容量の自動集計』など、属性情報を活用した設計を行ったそうです。また、今回のチャレンジの背景として、機械設備設計の協力が得られたこと、BIMソフトの進化が後押しとなったとのことでした。

 

BIMソフトの活用

BIMソフトやデータ連携では、詳細に内容をご紹介されていました。

本案件では、意匠・構造がRevit(複雑な形状はGrasshopper)を使用し、設備設計にはRevitとの親和性を重視し、レブロを採用したそうです。

機械設備では、納まり検討のほか、ダクトの圧損計算や配管の揚程計算をレブロで行い、温熱環境シミュレーションは、Revitモデルを使って計算して、解析作業を省力化したとのことでした。

電気設備では、納まり、計算・解析、負荷集計、数量把握、図化などの作業において、情報の信頼性を高めるため、BIMモデルを根拠とし、データの入力ルールを事前に設定したそうです。


本案件の照明解析は、大空間であることからDIALux evoを採用。意匠性を考慮した照明器具の配置については、Dynamoを採用し、構造の設計ルールを設計アルゴリズムに組み込むことで数百台ある照明器具をわずか10分程度でモデル上に配置することが可能になったとのことです。

Revit上で配置した照明器具をレブロに取り込み、情報を与えて図面化したそうです。配光データも保持させ、レブロで照度分布図の作成や照度計算機能を使用したとご紹介いただきました。


次に、分電盤リストの集計は電気設計の鬼門である、と吉永様は前置きし、設計の最後にならないと情報がすべて揃わず、その時点で盤が納まらないなどの障害が発生すると全体の設計に影響を及ぼすとお話しされていました。

そのため、BIMを根拠にシームレスに集計できないかを考え、レブロに実装されている系統管理機能で対応することができたとのことでした。

▲系統管理 イメージ

系統情報をレブロで作成し、系統ごとに情報出力、Excelにて負荷情報の分析や集計を行うといったワークフローを確立し、分電盤リストの自動生成に成功したとのお話しでした。

積算についても分電盤と同様に、レブロのモデルから情報を抽出し、ケーブルラックのようなコストの大きいものから、ほぼすべての部材について、概算コストを算出することができたそうです。

分電盤、コスト検討、いずれについても、モデルへの情報入力には、それなりの労力と時間がかかってしまうが、一度入力すれば、計算し、チェックをする工程が短縮でき、手応えを感じたとお話しされていました。


図化では、BIMモデルから系統図を作成する連携については、まだ答えが出ていないものの、今回はテストとしてモデルデータからアイソメ図を作成し、系統図の代用としたそうです。むしろ、こちらの方がわかりやすいのではないか、といった意見も社内からあったようです。また、詳細図を作成するにあたり、複雑な取り合い調整が必要な箇所については、BIMモデルから生成したパースを添付したとのことでした。

最後に

本案件で多くの成果が得られ、課題も明確化したそうです。

設備BIMは、モデルに含まれた情報をどう活用するかとその仕組み作りが重要な要素であり、人材面でもBIMデータを扱うスキルだけでなく、膨大なデータベースを取り扱うことに長けた人材の登用や育成など、その体制作りについても検討の必要性を感じたとのご感想で、お話しを締めくくられました。

貴重なお話ありがとうございました。

 

 

テクニカルフォーラム『設備CADとメーカーが連携して広がるBIM』 ―iPadアプリとレブロの新機能について―

当日のテクニカルフォーラムでは、当社取締役 開発部 部長の小倉が機器メーカーとの取り組みと開発を進めてきたiPadアプリの開発状況の紹介をいたしました。

会場は事前申込の段階で満席となっており、約190名のお客様がセミナーにご参加いただきました。

十分な席数をご用意できず、立ち見でご聴講されたお客さまには、この場をお借りしてお詫び申し上げます。

▲たくさんのお客様にご来場いただきました。

メーカーとの取り組みについて

今回、ダイキン工業様、TOTO様、パナソニック様との取り組みについて、ご紹介いたしました。

ダイキン工業様とは、現在、共同開発を進めているクラウド型空調設計支援システム「DK-BIM」との連携について、進捗状況と今後の方針についてご紹介しました。連携機能については、「機器の自動配置」、「冷媒管接続」、「冷媒管サイズ選定」の3段階で開発を進めています。

具体的には、「DK-BIM」で熱負荷計算および機器選定を行い、その結果を元にレブロ上に選定された機器を自動配置します。配置した機器間を冷媒管で自動接続、パッケージエアコンの能力値から、冷媒管サイズを選定するという流れです。

今後、ユーザーから自動作図のお知恵を借りながら、機能実装に向けたブラッシュアップを行い、ユーザーにご提供したい考えです。


次に、TOTO様との連携です。

設計から流れてきた情報をシームレスに施工段階でも活用できる機器の置換機能をご紹介しました。

レブロに提供されているTOTO製のBIMパーツは、名称だけでなく型番、スペック情報まで登録しています。建築BIMソフトで品名を選定し、配置したパーツをレブロへ読み込む際に、名称、型番を指定することで、指定型番に置換することが可能となります。


続いて、パナソニック様からご提供いただく照明器具の新しい仕組みについて、ご紹介しました。

照明器具は新製品の提供サイクルが速く、CADベンダーのHPに掲載するデータが最新の状態を保つことが困難であるという課題がありました。

そこで、パナソニック様が新たにデータベースを構築し、Web上に最新のBIMパーツを公開することで、ユーザーは常に最新のデータを使用することができます。

提供するBIMパーツには、スペックや照度データの情報が登録されており、照度分布図や照度計算書に活用することができます。

 

iPadアプリの開発について

iPadアプリ「RebroToGo(レブロトゥゴー)」の開発状況についてもご紹介しました。こちらのアプリの特長は、属性情報を持った3Dモデルデータを閲覧し、施工管理に必要となる情報を入力することができる点です。

「RebroToGo」は、工事プロセス(発注、搬入、据え付け、保温など)を管理するツールとして開発を進めています。セミナーでは、レブロに搭載されている機能や情報を元に、「RebroToGo」に搭載予定の一部機能を紹介させていただきました。

業務フローに沿ったチェック項目を設定し、「RebroToGo」を現場で利用することで、施工管理業務の効率化が図れるのではないかと期待を込めております。

ご紹介した新機能は、今後、ユーザーヒアリングや検証を重ね、開発を進めていく予定です。


また、テクニカルフォーラム終了後には、「RebroToGo」を触ってみたいと、展示ブースにも多くの方がお立ち寄りくださり、実機に触れていただきました。

▲弊社 展示ブースの様子

あらためまして、テクニカルフォーラムにご参加いただいた皆さま、また、当社展示ブースにお立ち寄りいただきました皆さまには、厚く御礼を申し上げます。

誠にありがとうございました。