レブロ活用事例

「BIM現場で本当に使える」設備CADレブロと
基幹システムを連携させ、生産性を飛躍的に向上

ジャパン・エンヂニアリングは、建築設備配管のプレハブ加工を主業とする加工管メーカーである。設備配管の工場加工によるプレハブ化にいち早く取り組んだ老舗であり、そのフィールドは従来の金属管(各種ライニング鋼管、白ガス管、ステンレス鋼鋼管)に留まらず、拡大中の樹脂加工管も含め建築設備分野のほぼ全管種を網羅している。そんな同社だけにDXの推進にも積極的で、独自開発した基幹システム「JESナビ」で、引き合いから加工管設計、工場発注、請求書作成まで全業務を統括管理。さらに2020年にはJESナビとBIM対応設備CAD「レブロ」を連携させ、管割アイソメ図作りから加工管製作の時間短縮にも成功している。取り組みの詳細について、同社の南雲社長と蒔田氏、村木氏、石田氏にお話を伺った。

独自基幹システム「JESナビ」の開発

ジャパン・エンヂニアリング株式会社様のプロフィール画像

 「昔は設備配管も職人さんが現場で加工して取り付けていましたが、現在は現場加工が減ってプレハブ化が急速に進んでいます」。ジャパン・エンヂニアリング株式会社(以下JES) プレハブ事業部の営業課長 蒔田大輔氏はそう語る。
 プレハブ化された設備配管の現場では、まず施工を請け負う設備工事会社が施工図を描く。次に施工図を元にJESのような加工管メーカーが管割してアイソメ図を描き、工場発注して加工管を製作。現場ではこの加工管を結んで施工していく。蒔田氏によれば、JESはこのプレハブ加工に創成期から取り組んできた草分け的存在。従来から手掛ける金属管加工に加え、近年急増する樹脂管加工にも他社に先駆けて取り組み、いまや業界を牽引するリーディング企業の一社と目されている。
 JESは時代に合わせてさまざまな配管の加工に対応していくほか、独自の加工管生産管理システム「JESナビ」を開発し、生産性向上を図ってきた。JESナビは物件の引き合い情報から積算や図面作成、発注、請求、工場生産管理、現場納品管理に工場請求まで、一括管理しながらデータ連動するシステムだ。同じく独自開発した作図ツール「JES CAD」で管割やアイソメ作図を行い、JESナビと連動することで業務全般を幅広く支援している(図1)。

▲(図1)JESナビとJES CADのフロー

▲(図1)JESナビとJES CADのフロー

 開発を決めた社長の南雲一郎氏はこう語る。「実は、アイソメ図を描いて加工管を納入するシステムを日本で最初に作ったのは当社なんですよ。ただこれからの時代、図面を“ただ書いているだけ”では、やはり駄目ですよね。そこにせっかく、“何を使っているのか”っていう情報があるわけだから」。図面の作図がCADに置き換わっても、それが“ただの絵”でしかないのなら、紙と大差がない。デジタルであることを活かして、CAD図面の情報から寸法や材料のデータを自動で集計できるようにしたのだという。

基幹システムと連携する設備CADを求めて

 そして2019年、建築業界で急速に進むBIM化の波を背景に、このJESナビに次世代を先取りする新機能を加えるべく新たなプロジェクトがスタートした。BIM対応の設備CADを選定・導入し、JESナビとのデータ連携を実現するシステム作りである。ここで選ばれたのが「レブロ」だった。
 なぜ加工管メーカーであるJESが多額の開発費をかけてまで「レブロ」との連携を行ったのか。

 「レブロには、実は早くに目をつけていたんですよ」と南雲氏は語る。2012年に「JESナビ」を導入した時も、アイソメ作図の業務改善のために連携を検討していたのだという。だが、三次元CADに注目していたものの、当時は連携まで至らなかった。
「こういうものは、我々1社だけじゃ駄目なんですよね」(南雲氏)。
 レブロに魅力は感じたものの、当時は設備工事会社でのレブロの認知度もまだ低く、本格的な運用は見送ったそうだ。加工管メーカーとして、まずは受注先CADとの互換性を第一に考えた結果だった。

 流れが変わったのは2018年頃だ。働き方改革を背景として生産性の向上が業界全体の命題となる中、大手ゼネコンや設備工事会社からも徐々にレブロの名前が挙がるようになる。そんな時、BIMの推進に積極的な大手ゼネコンからレブロを介した仕組みづくりについて協業を打診されたのだ。今がレブロ導入の時期だと南雲氏は決めたという。


▲代表取締役 南雲 一郎 氏

▲代表取締役 南雲 一郎 氏

レブロ/JESナビ連携がBIM現場にもたらすもの

 コラボレーションを依頼してきたゼネコンの狙いは、現場管理の「見える化」だったとレブロチーム リーダーの村木大作氏は言う。DX推進の一環として、現場へ納める配管材料の製作工程から現場施工に至るまで、進捗をデータで管理したいという要望だった。そこで、レブロを介して配管加工と設備施工を結ぼうというわけだ。
「そういうことなら、当社としても望むところです。早速、ゼネコンと私たち、そしてNYKシステムズやJESナビ開発を担当したシステム会社の株式会社イエスにも参加してもらって会合をもち、約2年間に渡ってワーキング風に議論を交わし、協業に取り組みました」。
 この会合で、JESはBIM現場における「ゼネコンや設備工事会社が求めているデータ」や「配管加工に必要なサービス」といったニーズをヒアリング。レブロ/JESナビ連携の開発に着手し、加工管発注から現場納品までをデータで結ぶ、より効率的かつ高品質な製作フローを作りあげていった。

▲(図2)加工管発注から現場納品までのフローの変化(ステンレス加工管30~40ピースを想定)

▲(図2)加工管発注から現場納品までのフローの変化(ステンレス加工管30~40ピースを想定)

 新しい製作フローの流れやメリットとはどのようなものか。レブロチームの一員としてレブロユーザーの顧客と日々接する営業の石田望氏に紹介していただこう。「加工管の受注時に設備工事会社から提供される施工図は、CADデータや手描き図面などさまざまです。レブロ/JESナビ連携以前の加工管製作は、まずこの施工図の寸法を当たることから始まりました。もちろん手作業ですよ」。そう言って石田氏は笑う。
 そうして算出した寸法をJES CADに入力し、管割アイソメ図を作成。完成したアイソメ図はPDFなどで顧客に提出する。このアイソメ図を見ながら顧客は手作業で確認し、JESはチェックバックを元に加工図を作って工場発注する。以上の流れで、総計17日ほどかけて加工管を作成していた(図2上部)。

 ところが、レブロ/JESナビ連携によりこのフローは一変した。
「現在はレブロの施工図をもらえばそのままレブロ上で管割できるので、寸法算出は不要になりました。アイソメ図も同じで、お客様がレブロユーザーなら、レブロ上で管割部だけ確認してもらえば完了します。従来は元図とアイソメ図を見ながら確認が必要だったのですが、レブロの干渉チェックが使えるので、お客様のチェック作業の負担も大いに減ったわけです。もちろん加工注文書もデータ連動でそのまま作れます」。
 受注から現場納品までの期間は従来の17日から約40%削減され、現在は総計10日間で完了となる(図2下部)。

データ連携のメリット

▲(図3)レブロデータとJES CADの連動イメージ

▲(図3)レブロデータとJES CADの連動イメージ

 連携による作業の効率化や、手入力が無くなったことによるミスの削減、顧客のチェック負担減により、納期は大幅に縮小されたと村木氏は説明する。
 例えばアイソメ作図もJES CADでレブロから出力されたExcelデータとIFCデータを解析して自動出力できる(図3②)。加工注文書などの帳票類もExcelデータリンク機能を活かした自動出力だ(図3③)。また、JESナビで入力した属性情報はExcelデータでレブロに受け渡しできる(図3④)。

 顧客が得るメリットは納期の短縮だけではない。Excelデータリンク機能をはじめとするレブロならではの汎用機能により、設備工事会社もゼネコンもBIM運用で付加された情報を現場で幅広く活用できるようになった。設備工事会社の現場担当者も、加工会社名や加工管納入日・設備工事会社名などの品質管理情報をデータで確認できるのだ。
 例えば、JES CADで用いたレブロファイルからExcelファイルを生成してJESナビに取りこめば、QRコードを使った納品管理も可能だ(図4)。加工管に出力したQRコードを付加し、現場でリーダーを使って管番号などを読み込めば手入力が減る。

(図4)QRコード

▲(図4)QRコード
現場に納品する配管一つひとつにQRコードを貼る。コードにつけたデータはカスタムプロパティを通じてJES-顧客間で共有可能。QRコードを付けることで現場の電子リーダーで読み込み、モバイル端末で管理することもできる

 「BIM現場において、ゼネコンは設備工事会社や当社と連携しながら、さまざまな情報を収集していこうと考えています。当社も管番号などを付帯させて流していますが、独自に付けた番号のままでは先方が使えないので、ゼネコン仕様のデータに直す必要があります。レブロならカスタムプロパティを使ってゼネコンや設備工事会社それぞれが求める情報をカスタマイズして出力し、先方のシステムへ受け渡しできます」(村木氏)。
 情報の入出力に強みのあるレブロだからこそ、データ連携がより効率的になるというわけだ。

現場運用でも見えてきたデータ活用の可能性

 2020年6月、レブロ/JESナビ連携のシステムは完成し、以降は協業したゼネコンの現場を中心に運用されている。また、同時期にはJESオリジナルのモジュール部材(図5)も多数レブロに登録され、レブロでの施工図作成もいちだんと容易になったという。
「レブロ連携は試験も含めもう8~10現場になるでしょうか。各現場で求められるものは異なりますし、それぞれに改善点や課題も出てきます。そこでその都度フィードバックしながら、より使いやすい完成度の高いシステムへとブラッシュアップし続けています」。
 蒔田氏の言葉に村木氏もうなずく。「どの現場でも“何を試すか?”をかなり詳細に打ち合せしてから運用を始めるのですが、たいていスタートしてから“ああいうことはできないか?”、“こういうことはどうだ?”と聞かれますね。ゼネコン・設備工事会社ともに、一現場ごとにわれわれへの要望が増えていく感じです」と村木氏は苦笑いする。レブロ運用によるデータ活用の可能性に、いよいよ現場自身が気付き始めたのかもしれない。
 実際、大型プロジェクトの現場にも次々とレブロの普及が進んでおり、「レブロが次代の主流になる」というJESの予想は正解だったといえるだろう。

(図5)レブロに登録された部材

▲(図5)レブロに登録された部材

レブロチームの発足

JES社内

▲JES社内

 JESにはレブロ連携をバックアップするチームも誕生した。チームでは営業部隊がレブロの提案をするのはもちろん、CADオペレーターが客先に同行して操作を説明したり、Zoomなどのリモート環境も駆使して操作の相談に乗ることもある。ただ自社のシステム連携を薦めるだけでなく、設備工事会社のレブロ導入までサポートして効率化に貢献する。こうした取り組みが受注にも繋がり、顧客満足度にも繋がっていくという。

 積極的にレブロのノウハウを蓄積し、使い方まで提案していくJESのレブロチーム。その熱意で、営業先からは「NYKシステムズの営業マンでしょ」と言われるほどだ。
 設備CADソフトはレブロで始めたという石田氏は「お客様が直面するさまざまな課題に対して、プレハブ加工+レブロでの解決を提案できるよう、すべての営業マンがレブロに対する理解をより一層深めていく必要がある」と言い、社内メンバーの習得フォローも主体的にやっていきたいと語ってくれた。

ビジネスチャンスはここにある

 工場生産の受発注システムとレブロとの連携プロジェクトはいったん完成したというが、まだ取り組みは続いているという。
 現在の大きな目標の一つは、自社の積算システムとレブロとの連携だ。レブロデータから必要な数量を拾って積算を行い、JESの見積りを自動的に行う。材料も拾うことができるレブロの強みを活かしたシステムである。開発は順調に進行しており、2021年9月頃の完成を目指しているという。
 常に先の先を考え、時代にあった変革を取り入れることを大切にしているという南雲氏。今後も積極的に業務を効率化していく考えだ。
「業界全体にBIMが広がりつつあり、レブロのシェアも伸びている。われわれのビジネスチャンスは間違いなくこの変革期にあります。当社では、これからも大いにレブロを使わせていただこうと考えています」。

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CORPORATE PROFILE

ジャパン.エンヂニアリング株式会社

本社 東京都文京区本駒込2丁目27番15号 JESビル
設立 1973年
代表者 代表取締役 南雲 一郎
資本金 1億円
従業員数 192名(2021年5月現在)
事業内容 プラントや建築設備等に配管するための、ステンレス管・鋼管の加工管の製造・販売

 

2021.08.30


※「Rebro®」は株式会社NYKシステムズの登録商標です。 その他記載の商品名は各社の商標または登録商標です。
※記載事項は予告なく変更することがございます。予めご了承ください。
※本事例で記載されている内容、部署名、役職は取材時のものです。