レブロ活用事例

Rebro(レブロ)でチャレンジするフルBIM活用プロジェクト そしてBIMの拡張利用へ

 オービック御堂筋ビルは、大阪ビジネス街の中心地で建設が進む最新鋭の超高層ビルである。地上25階・地下2階の建物にホテルやオフィス、商業施設、ホール等が計画され、大阪の新たなビジネス拠点を目指している。このプロジェクトは、計画から設計、施工、維持管理までBIMデータを活用するフルBIMにより進められている。空調設備の施工会社としてプロジェクトに参加した三機工業も、レブロによる設計・施工を行い大きな成果を上げつつある。同現場を担う関西支社空調衛生技術1部の津野氏・鵜野氏と同社の技術研究開発部門であるR&Dセンターの吉岡氏にお話を伺った。

初めてのフルBIM案件で初めてのレブロ

「実は担当が決まった段階では、ここがフルBIMの現場になるとは知らなかったのです」。三機工業関西支社 空調衛生技術1部の津野将太郎氏はそう言うと苦笑いした。同社はオービック御堂筋ビルのプロジェクトでオフィスフロアの空調設備を担当しているが、その現場を任されたのが津野氏だった。入社以来、空調衛生の設計・施工業務に携わってきた津野氏も、本格的にBIMを活用する現場は、これが初めてだったのである。

「フルBIM現場と知ったのは2017年6月、現場に乗り込んだ時のことでした。元請けである鹿島建設様の担当者との打ち合わせで“この現場では、設計BIMを引き継ぎ、BIMで施工図を作製し、BIMデータをフル活用して施工します”と言われたのです」。もちろん驚きはあったが意外ではなかった、と津野氏は言う。BIMが建築業界のトレンドであることは業界常識であり、自身も情報収集を心掛けていたのだ。「この現場では、単に“BIMに取り組みたい”というだけではなく、元請けの鹿島建設様が“BIMで○○をやりたい”と明確に示してくれていたので、私たちも動きやすいのです」。だが、一方で津野氏が気になっていたのがCADの問題だった。従来の施工図を描くためのCADから、施工BIMモデルを作るための3D CADとして「レブロに統一したい」と言われたのである。

「大規模な現場だけに設備会社も7~8社入っており、それぞれ異なる設備CADを使っていました。そして、当社含めレブロは初めてという会社が大半でした」。当時の設備分野の3D活用は、干渉チェックや納まり検討が大半で、それならばレブロ以外の設備CADでも対応できる。あえて不慣れなCADに乗り換える必要があるのだろうか、と疑問を感じたという。だが、BIMデータの広汎な運用で鍵となるのは、モデルに入力した属性情報の活用だ。フルBIM活用を目指すこの現場で、属性情報の入力に優れたレブロが選ばれたのは当然だった。後に津野氏が実務の中でそれを実感したという。

ともあれレブロの導入が決まった以上、レブロを使えるオペレーターの育成が急務であった。すぐに鹿島建設の主導により、実運用に向けてBIMを深く追求し、現実のものとするべく 「BIM(レブロ)研究会」が開催された。津野氏と共にこの研究会に参加した鵜野氏は語る。

「レブロは、以前使っていた汎用CADと操作が似ていたため、比較的理解しやすいCADでした。でも、使いこなすには、やはり実戦で鍛えるしかありません。研究会では、操作について実例を話し合い、実務で積極的に使っていきました」。その過程で支えとなったのが、NYKシステムズの電話サポートだ。「現場へのサポートも手厚い製品と聞いていたので、期待はしていました。幸い製作期間を比較的長めに取れたこともあり、この電話サポートや研究会を通じて、乗り切ることができました」(鵜野氏)。

「複数の設備業者が関わる現場のCAD統一は、各社の手法の違いや時間不足で頓挫するケースも少なくありません。しかし、当現場では鹿島建設様がリーダーシップを発揮して各社が意見を出し合い、細かくルール決めすることで実現できました。この規模の現場で、初めて触るCADへの統一を実現した例はそう多くはないはずですよ」(津野氏)。このようにして、各社の一致団結した努力により、レブロによる施工図・施工モデル製作も次第に本格化していった。だが、これとは別に、BIMに関わる新たな課題も出現した。

 

 

BIM を活かした資材管理と工事進捗管理

「鹿島建設様は、当初からこの現場でBIMデータを用いて、さまざまな新技術を試し、成果を上げていました。そして、その流れの中で”貴社もBIMデータを活用して、何か新しいことにチャレンジしてみませんか?“と、当社にも声がかかったのです」(津野氏)。先進的かつ他に類をみないフルBIM現場だけに、それを活かした新たな挑戦を行うことは、津野氏にとっても望むところだった。しかし、初めて使うレブロを運用しながら、現場単独でこの課題に挑むことはさすがに無謀である。そう判断した津野氏は、関西支社設計1部の岩松部長に相談し、岩松部長がR&Dセンターの吉岡氏に相談を持ち掛けたのである。R&Dセンターは、三機工業の技術研究開発拠点であり、最新のICT環境のもと、社内外と連携しながら研究開発を行うオープンラボ形式の施設である。ここでBIM関連をテーマに取り組んでいるのが吉岡氏だった。

「実は私たちも、2016年頃からBIMを用いた施工管理の省力化・合理化の検討を進めていました。具体的には、施工図の製作過程で蓄えられる多くのデータを、CADを始めとする多様な端末で広く共有することで、施工管理をもっと合理化していこうというものです」。吉岡氏は、その基本的な仕組みを考え、構築し、実際の現場でそれを検証するプロセスに着手していた。それは、オービック御堂筋ビルの現場で求められたBIMデータ活用の課題とも共通点が多かった。「ちょうどこの頃、レブロがExcelデータと情報をやり取りできるデータリンク機能を開発していることを知っていたので、その活用を前提とした計画を実践できるという手応えが背景にありました」。吉岡氏は即座に津野氏と協議を行い、2017年後半から現場とR&Dによる新たなBIMデータ活用の取り組みが始まったのである。

 

「BIMモデルに入力した情報をどう利用すれば、施工管理の合理化へ繋げられるのか。2人が議論するなか、着目したのが設備部材の管理でした」(吉岡氏)。施工現場では、同じ部材でもフロアやエリアにより異なる製品が指定されることも多い。現場ではそれを正確に識別し、使用箇所に照らして仕分けしなければならない。手間のかかるこの作業を、BIMデータを活用して効率化を進めることができるのではないか?という着眼だった。とはいえ、膨大な品目の部材すべてで試行することは難しく、今回は1品目に絞って試すこととなった。そこで選ばれたのが「フレキシブルダクト」である。

「もともとフレキを発注する際には、合番表を使っています。各図面に使うフレキごとに番号を振り、個々のサイズや長さ、分岐の有無等を記した一覧表です。これらの情報をBIMモデルに入力すれば、後でこれをExcelに出力して活用し、管理できると考えました。フレキは1番わかりやすく、取り組みやすい部材だったのです」(津野氏)。こうしてフレキダクトを対象とする部材管理の仕組みづくりが急ピッチで進められ、さまざまな工夫を加えた上で、設備工事が始まったオービック御堂筋ビルの現場に投入された。

 

「現場への搬入時は、系統ごとにプレカットしたフレキをパッケージ化し、専用コンテナに入れて運び込むようにしました。現場での積み替えを無くし、省力化を図ろうというわけです。また、各パッケージ添付のQRコードをタブレットPCで読み込みこむことで、受け入れ検査も簡単に行えます」(津野氏)。一方、受け入れ確認後の吊り込み作業においても、フレキダクトの接続にワンタッチ式を採用し、施工時間の短縮や施工品質の均一化を図ったほか、施工完了後はタブレットで進捗状況を送信することで、現場事務所でも進捗を確認できる仕組みとしている。 「今回はフレキだけに絞ったため、現場には逆に不便だったかもしれません。本来はすべての部材に対して同様のシステムで運用できれば良かったのですが、それは次の課題にしたいと思います。あえてトライしてくださった現場の皆さんには、大いに感謝しています」(吉岡氏)。

 

増え続けるBIM現場でリーダーシップを

 このような各社のBIM拡張利用の多彩な試みと共に、オービック御堂筋ビル新築工事は着々と進行していった。そして今、プロジェクトは最終段階に差しかかっている。

「レブロの導入などもあり、当初はスケジュールを危惧した時期もありましたが、ふり返ってみれば、そうしたハンデにも関わらず概ね計画通り進められました」という津野氏の言葉に、鵜野氏も頷く。「オペレーター部隊の操作習得にはそれなりの時間がかかりましたが、レブロの場合、覚えてしまえば早いというか、特にモデルの製作では抜群の使いやすさでした。また、レブロ独特の機能を有効に活用しようと工夫し、外部参照でもその操作性の良さを感じました」(鵜野氏)。多くの設備業者が参画したこの現場での作図作業は、各社がレブロで製作した担当設備のデータを互いに参照し合いながら進めるが、レブロのデータで従来のように、3設備で3社分を重ね合わせるとデータ量が膨大になり、扱いづらくなる。そこで各社が駆使したのがレブロの外部参照機能だった。

「レブロの外部参照機能で強調できる点は、クラウド上のデータを直接外部参照できるよう即座に開発対応して改善されたことです。また、参照データが複数でも軽快にデータを開くことができ、重複して参照しないなど、管理が容易で、他CADの外部参照と比較しても、操作性は良いと感じました。これなら複数の会社の図面データが容易に重ね合わせられ、常に最新のデータを参照できます。各社が“ここは他社の設備があるから避けよう”と、リアルタイムに見て判断できるわけです。もちろん3Dのわかりやすいビジュアルは、お客さまや関係者に確認していただく場合にも最適ですし、こうした大きな現場ほど威力を発揮するCADと言えますね。余談になりますが、レブロで一番、鹿島建設様も驚いていた点は、総合図のプロットの際のシンボルのオフセット機能でした。これは、本当に設備各社が凄い!と絶賛したコマンドでした。BIM研究会を通じて、従来のCADではできなかった操作を探求して、BIMというものに対応する柔軟さと楽しみを覚えたこともこの現場ならではの収穫と言えますね」(鵜野氏)。

 

 

一方、津野氏は、BIMモデルの作成はもちろん、施工図を描く上でもレブロが威力を発揮したと語る。 「たとえば、従来のCADで作った施工図の場合、修正が発生すると平面図を直し、それに合わせて断面図や詳細図のデータも個々に直さなければなりません。しかしレブロならばその手間は不要なのです」。つまり、モデルデータがベースにあるため、モデルから生成したすべての図面は連携しており、一つの図面を直すだけで関連する図面が自動的に修正されるのだ。レブロにとっては当り前の機能だが、「今回施工図を作成してみて改めてそのメリットを実感した」と津野氏は言う。「本現場ももう後半戦ですが、今後の課題としては竣工図の製作が挙げられます。当然、最終的なBIMモデルから2Dに切り出したものがベースになりますが、どのようにレブロを使えば竣工図に上手く変換できるのか、NYKシステムズにも協力を仰ぎながら効率的に進めて行きたいですね」(津野氏)。最後に吉岡氏に、今後のBIM現場の展開について語っていただいた。

 

「こうしたBIM案件はこれからも増えていくように見受けられますから、この先進的なBIM案件現場を既に経験されたお二人には、リーダーシップを取って現場を牽引していただけると期待しています。その意味で、当社にとっても非常に大きな知見が得られたと思います。もちろん我々R&Dも、今回ご協力をいただいた成果、経験を活かしてBIMデータを利用した合理化、効率化の開発をさらに進めて行きたいと考えています」。

 

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CORPORATE PROFILE

三機工業株式会社

本社 東京都中央区
代表者 代表取締役社長執行役員 長谷川 勉
資本金 81億518万円
従業員数 1,967名(2019年3月現在)
事業概要 建築設備事業/ビル空調衛生、産業空調、電気、スマートビルソリューション、ファシリティシステム
プラント設備事業/機械システム、環境システム ほか
URL https://www.sanki.co.jp/