レブロ活用事例

全社横断的なBIM活用ワーキングが始動
ボトムアップで普及が進む Rebro(レブロ)を核に 施工BIM活用へ本格的な取り組みを開始!

 わが国屈指の総合設備会社である新日本空調株式会社は、国内初の地域冷暖房システムからクリーンルーム、原子力設備等に至るまで、数多くの先進的な空調設備を実現し、業界を牽引し続けてきた空調エンジニアリングのパイオニア&リーディング企業である。BIMへの対応にも現場ごとに取り組んできたが、2018年、全社横断的なBIM活用ワーキンググループを創設。独自に施工BIM活用への本格的な取り組みを開始した。同社の取り組みの背景と狙いについて、事業推進本部の廣島雅則氏とリニューアル事業部の遠田幹典氏、高橋みゆき氏に伺った。

変化のきっかけはリニューアル事業部から

 「BIMへの対応については、私たちもかなり以前から取り組んできました。ただ、設備工事会社である当社にとって、BIMはやはり物件対応が基本。発注元の方針に従って対応していました」。そう語るのは、新日本空調株式会社(以下 SNK)事業推進本部の副本部長 廣島雅則氏である。ゼネコンが元請けの工事現場では、BIMなどのツールについて、ゼネコンの指示のもと各設備工事会社が調整することが多く、独自にBIMを導入・活用していくことは容易ではなかった。BIMに関しては現場ごとに調整していた同社だが、やがて変化の時が到来する。そのきっかけは意外な所から生まれた。

 「リニューアル事業部は、その名の通り改修工事専門の部隊です」。同事業部技術管理部の部長 遠田幹典氏はそう語る。遠田氏によれば、SNKのリニューアル事業部における施工現場の技術者は、CADオペレーター等までを含めれば250名近くを擁する。当然ながら、改修工事が中心となるだけに中には正確な図面が残っていない現場もしばしばだ。そうした現場では、新たに現況を計測し、図面を起こし直すなど、大変な手間がかかることが多かった。「そこで3年ほど前、私たちは3Dレーザースキャナーを用いた図面化の手法に着目しました」。遠田氏らは外注業者に依頼して数回の試験運用を行った後、3Dレーザースキャナーを導入。自分たちの手でこれを運用し始めた。だが、その矢先に一つの問題に直面したのだという。

 「3Dスキャンして計測したデータを点群処理ソフトのInfiPointsで処理し、モデリングしていました。後はこのデータをCADに連携すれば、図面化に取り掛かれるのですが、このデータ変換がどうしても上手くいきませんでした」(遠田氏)。当時、遠田氏らが用いていたのは、SNK全社で使われていた設備CADだった。このCADでもInfiPointsで編集したデータを中間ファイルで取り込むことはできたが、その取り込み精度が不十分だったのである。実際に作業を担当した高橋みゆき氏は語る。「点群データのCADへの変換精度が低かったため、現場で使えるレベルの図面に仕上げるには、そこから非常に多くの修正が必要でした。そのため、どこまで修正し、どこから現場に任せるのかという切り分けの判断が難しく、悩ましい問題となっていたのです」。そんな高橋氏のもとへ届いたのが、InfiPointsの開発元であるエリジオン社からの「NYKシステムズと共同開発したレブロリンクを利用すれば、InfiPointsのデータもきれいにレブロへ移行できる。」と言うアドバイスだった。

 そこで、すぐに上司と相談し使用することにしました」。その効果は予想以上だったと高橋氏は言う。レブロリンクで出力されたモデルデータは、レブロ上に高精度で再現され、図面に仕上げる手直しも激減したのである。「正直驚きました。本当に1日もあれば、明確に“ここまで仕上げた”と現場に言える図面を作ることができました。以前のCADでここまで仕上げる場合、2倍以上の時間が必要だったと思います。レブロリンクにより、半減かそれ以上の効率化が実現できました」(高橋氏)。当時レブロは、新たなBIM対応CADとして現場への普及が進みつつあり、社内でも新築現場を中心に活用が始まっていた。だが、それはあくまでも物件対応の一環としての導入で、導入本数も数える程だったのである。しかし、この出来事をきっかけに、リニューアル事業部でのレブロ活用は急速に活発化していった。2年後、それは全社のBIMへの取り組みと結びつき、さらに大きな変化をもたらしたのである。

 

 

2つの潮流が1つになって生まれたBIM活用ワーキング

 「レブロが3次元の設備CADというだけでなく、BIMとの連携を視野に入れたツールであることはわかっていました。実際、InfiPointsとの連携を目的に導入した時は、以前から考えていた“BIM活用への道筋”も見えた!と感じたほどです」(遠田氏)。3Dスキャンによる点群データを活用した図面作成は、いわゆるBIMの活用からは外れるが、3Dデータ活用手法として共通の土台を持っている。他にもお客様へのプレゼンテーション等に3DCGを用いるなど、リニューアル事業部ではBIMの活用とダイレクトに結びつくようなチャレンジを進めていたのである。「たとえば3Dスキャンを用いた図面作成も、最終的には作りあげた設備モデルにさまざまなデータを入力し、これをデータベースとして保守や維持管理の工程に繋げていこうと考えていました。まさに後工程におけるBIMの活用法そのものと言えると思います」(遠田氏)。そして、こうしたBIM活用を目指す流れはSNKの他事業部においても徐々に活発化し始めていたのである。

 「前述の通り、新築担当の各部門では現場ごとにBIM活用に取り組んでいましたが、バラバラでの取り組みはどうしても効率が悪くなります。たとえばBIM教育等も各事業部が各々やっている状態では、事業部間の異動があった時など、教育の均一化が図れず、問題が生じかねません。BIMに取り組むなら、やはり全社的な動きが必要だという機運が盛り上がっていました」(廣島氏)。一方、こうした動きと軌を一にして、リニューアル事業部におけるレブロの活用も拡がっていた。「レブロはとにかく覚えやすく使いやすいです。ビデオ学習もできるし、実機によるセミナーもある。これまでのCADよりも圧倒的に習得しやすいと感じます。現場の若手からも“使いやすい”という声をよく聞きます」(遠田氏)。結果、短期間で現場での利用が急増。リニューアル事業部では、前述のBIM対応という狙いもあり、一括導入の決め手となったのである。

 こうした流れの中、2018年秋に、BIM導入を目指す2つの流れが1つに合流し、新たなワーキンググループ「BIM活用ワーキング」が誕生した。メンバーは首都圏事業本部に属する新築部門・リニューアル部門の各事業部が産業系・ビル系を問わず顔を揃え、文字通り全社横断的な活動となった。「これまで各事業部がバラバラに進めていたBIM活用に関わる取り組みを、この“BIM活用ワーキング”が中心となって統括し、効率的に進めています。特に施工が主体の会社ですから、施工BIMの活用とこれによる現場業務の効率化が大きな目標となっています」(廣島氏)。たとえばリニューアル事業部が一括導入したライセンスの他、各現場が導入していたレブロについても会社側が構築したライセンスサーバーで一括管理し効率良く運用している。また、リニューアル事業部が展開していた3Dレーザースキャナーの運用についても、機材を増やしてノウハウを共有。これを全社的に使えるように体制を構築しているという。

 

BIMの活用と効率化が欠かせない「これから」の現場

 「BIM教育に関する全社的な取り組みについては、すでに2019年度から始まっています。具体的には、技術系の新入社員全員を対象としてレブロの操作教育を開始しました。これはすでに定期研修のカリキュラムに組み入れていますので、今後SNKの若手技術者全員がレブロを使えるようになると思います」(廣島氏)。もちろん要望に応じ、現場ごとにさまざまなCADを使い分ける必要があることに変わりはないが、一方でBIMを導入する現場は着実に増え続けており、この流れと共に現場の設備業者向け統一CADとしてレブロが指定されるケースも多くなっているという。もちろんリニューアル事業部が一括導入したライセンスも、すでにフル稼働している状況だ。

 「本社内でも使用していますが、多くは現場で使用しています。3Dスキャン関連の運用に留まらず、BIMとしても利用が増えているようです。もちろん、設計部や新築の現場等での利用も促進しています」。こうした動きは今後さらに加速していくだろう、と遠田氏は言う。 「レブロリンクはInfiPoints用だけでなく、ゼネコンに多く採用されているBIMソフト用のアドインも提供されています。したがって、BIMの活用現場であれば、設備業者各社がレブロを使うことで、より大きな効率化が図れます」。(廣島氏)。最後に、レブロへの今後の期待を高橋氏に、BIMに関わる今後の目標について、遠田氏・廣島氏に語っていただいた。「作図機能の向上はもちろんですが、ライブラリーや機械器具のラインナップをより充実してもらえると実務者としてはとても助かります。使いやすさは実感していますので、より便利なツールとして発展し続けてもらいたいです」(高橋氏)。

 「リニューアル事業部は既存設備の改修が多いので、現場での活用を中心に考えています。たとえば既存設備の改修では、長期にわたりステップを踏んで進めるため、お客様に説明する際に、“春ごろにはここの機械および配管が無くなり、新しい機械が入ります、そして夏ごろにはこのような配管になります”という具合に進行を示すステップ図を作っています。なかなか手間がかかる作業なのですが、これをレブロの3Dデータから生成すれば、スピーディに作れるのはもちろんですが、お客様にも分かりやすいものが作成出来ていると思います。もちろんFM分野への下準備として、様々な情報を持たせていくための研究も着実に進めて行きます」(遠田氏)。

 「上流側から来るBIMに関しては、客先の要望に対し適確に応えていく対応が中心となるでしょう。今は過渡期だけに、さまざまなツールや技術を幅広く使いこなしていく必要があると思います。一方、私たちの専門となる施工BIMでは、施工図作成や施工シミュレーションなど活用できるようなBIMの機能が、まだまだたくさんあるはずだと考えています。今後はそちらに大きく舵を切っていき、便利なものは積極的に導入し、活用していきたいと考えています。とにかくこれからの時代、BIMの幅広い活用による効率化・省力化は、人手不足への対策として欠かせない取り組みになっていくと思います」(廣島氏)。


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CORPORATE PROFILE

新日本空調株式会社

本社 東京都中央区
代表者 代表取締役社長 夏井博史
資本金 51億5,860万円
従業員数 1,086名(2019年3月現在)
事業概要 空気調和、冷暖房、換気、給排水、衛生設備等の設計、監理ならびに工事請負
URL https://www.snk.co.jp/