Archi Future 2019 展示会レポート

「Archi Future 2019」開催

2019年10月25日(金)、東京・有明のTFTホールにて「Archi Future 2019」が開催されました。

この国内最大のBIMイベントは今年で12回目を迎え、当日は強烈な雨と風のあいにくの天候となりましたが、過去最高となる5,509名の来場者数で開催されました。設計事務所、ゼネコン、専門工事会社など、さまざまな来場者のBIMに対する関心の高さも、来場者の増加に伴って高まっていることが窺い知れます。

当社もレブロを製品出展し、非常に多くのお客さまにブースでご覧いただきました。


 

セミナー『建築設備におけるワンモデルBIMの取り組み』 – サブコン・メーカー・CADベンダーとの共創の業務フローよるデジタルツインの実現 –

当日のセミナーでは、レブロユーザーである株式会社大林組 建築本部 iPDセンター 上級主席技師の焼山誠様が、意匠・構造・設備の情報を統合したワンモデルBIMの活用について発表されました。本セミナーは、定員である230名を大きく超える受講者で会場が満席となり、立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。

▲㈱大林組 建築本部 iPDセンター 焼山様

 

同社は2017年を境に、BIMを基盤とした業務プロセスの変革に取り組んでおり、新しいBIM活用における構想と、その利点や課題を解説されていました。

2017年以前においては、各部署が各々で使いやすいサービス・ソフトウェアを活用していたそうですが、現在はRevitを基軸としたクラウド環境での運用に統一しているそうです。そのクラウド環境において、一つの仮想建物モデルに、意匠・構造・設備各分野の要素と情報を含み、各分野・各段階の関係者が整合性を保ったまま入力・編集できる情報プラットフォームがワンモデルの考え方と定義されていました。

 

BIMソフトとの共創

ワンモデルBIMのプロセスと、そのプロセスの中で設備が考えることについて、その詳細について説明がありました。

同社では、設備実施設計図はRevitを利用し、設備施工図にはRevitとの親和性を重視し、レブロを採用しています。

Revitで作図した建築・構造モデルと設備モデルをレブロに取り込み、レブロで作図した設備モデルをRevitに返すことができる仕組みが、ワンモデルBIMに欠かせないものであるとのことでした。

ワンモデルBIMで生産性向上を目指す上で、「コンピュータでできることはコンピュータで、人でしかできないことは人で」という言葉を強調されていました。

空調設備設計の流れを一例に、設計判断の照明負荷や機器発熱など、コンピュータでできる計算系の作業と、配管ルーティングなど人の手が必要な作業とを仕分けし、コンピュータでできることは可能な限り自社で開発して効率化していきたいとのことでした。


一方で、自社でできないことは他社と連携して取り組みたいとのお話しで、レブロとDK-BIMとの連携を引き合いに、冷媒管の自動接続やサイジング、騒音計算の機能など、効率化できるものはBIMソフトベンダーと共創していきたいと表明されていました。


最後に、デジタルツインを活用した建物情報の統合プラットフォームBIMWillについて、紹介がありました。

維持管理段階でのBIM活用を想定したもので、BIMモデルに加えて、図書や記録、IoT(体感・位置)情報、地図情報や気象情報を集約し、関連付けることで、今起こっていることがリアルタイムで確認できる仕組みが実現可能というものでした。

ビルオーナーやビル管理会社へBIMモデルから能動的に発信することで、保守点検の情報共有、施設・設備の予防保全、施設利用の最適化提案に活用可能とのことです。現在は、物件ごとのデータベースとなるため、マッピングに人手がかかる点を今後の課題とされていました。

 

まとめ

多種多様なユーザーに対応するには、デジタル情報の整備を自前で行い、その上で、できないことは他社と「共創」して一つの仕組みを作り上げていく必要がある。また、デジタルツインを実現したシステムでは、一定の運用ルールと投資が必要であるとの見解で、お話を締めくくられました。


 

テクニカルフォーラム『設備BIMのさらなる発展』 ―Rebro2020の新機能について―

当日のテクニカルフォーラムでは、当社取締役 開発部 部長の小倉が12月17日リリース予定の「Rebro2020」に搭載するRevit・DK-BIMとの連携強化、レブロの機能アップについてご紹介しました。

会場は事前申込の段階で満席となっておりましたが、当日の悪天候にもかかわらず、非常に出席率が高く、立ち見での開催となりました。 十分な席数をご用意できず、立ち見でご聴講されたお客さまには、この場をお借りしてお詫び申し上げます。

▲たくさんのお客様にご来場いただきました。

 

Revitとの連携強化について

Autodesk Revitとは専用アドインを作成し、双方向でデータをやり取りすることができます。今回、機能向上として、「スリーブ連携」、「ファミリオートマッピング」、「単線シンボル表現」、「RGFマッピングの拡充」をご紹介しました。

「スリーブ連携」は、レブロで検討したスリーブ情報をRevitに受け渡し、また、Revitで位置を確認・修正したスリーブ情報をレブロに受け渡すことが可能です。また、新旧のスリーブ情報を比較することができます。

「ファミリオートマッピング」では、Revitからレブロにマッピングした情報を、レブロからRevitに受け渡す際に、同じ設定で自動的にマッピングすることができます。各々のマッピングテーブルを作成する手間を省力化できます。

「単線シンボル表現」では、Revitの簡易モデルの情報をレブロの単線シンボルとして取り込み(もしくは割り当て)に対応します。接続情報も保持するため、取り込んだシンボルから配線やダクト・配管を作図できます。

実案件でご利用いただけるよう、Revitとレブロのさらなるデータの互換性を強化しています。

 

DK-BIMとの連携強化について

ダイキン工業様が提供するクラウド型空調設計支援システム「DK-BIM」との連携について、実装済みの「機器の自動配置」に加え、「冷媒管接続」、「冷媒管サイズ選定」、「騒音計算」、「FILDER Cubeとレブロの連携」の各機能をご紹介しました。

具体的には、「DK-BIM」で熱負荷計算および機器選定を行い、その選定結果を元にレブロで機器を自動配置します。配置した機器間を冷媒管で自動接続、パッケージエアコンの能力値から、冷媒管サイズを選定するという流れです。騒音計算では、受音点、室外機、防音壁をレブロのBIMモデルで指定し、DK-BIMで計算、帳票出力を行います。FILDER Cubeとレブロの連携では、各々の独自形式ファイルを直接読み取ることが可能となる連携を予定しております。

 

レブロの機能アップについて

「Rebro2020」では、さまざまな機能アップを予定しており、何項目かピックアップしてご紹介しました。

系統管理を利用した材料チェックの機能のほか、カスタムプロパティにナンバリングする機能を追加し、バルブリストを作成できる機能など、BIM利用を想定した属性情報の活用が可能となります。

また、接続済みの機器器具や弁類継手類を維持したまま別の部材に置換する機能や、外部参照機能の強化、電気設備の盤管理機能の強化、SpiderPlus(コンセント試験・幹線設備試験)連携やCheX連携、全天球画像の取り込み、レブロの速度改善についてご紹介しました。

最後のまとめとして、「Rebro2020」のリリース予定日(2019年12月17日)をご案内しました。


当社ブースの様子

当社ブースには、例年以上に多くのお客様にお立ち寄りいただきました。

テクニカルフォーラムで発表いたしました「Revitとの連携強化」、「DK-BIMとの連携強化」、「レブロの機能アップ」について、実機でご紹介しました。「この機能が欲しかった」とのお声もいただき、新機能に対する期待の高さを実感できました。

▲たくさんのお客様にご来場いただきました。

あらためまして、テクニカルフォーラムにご参加いただいた皆さま、また、当社展示ブースにお立ち寄りいただきました皆さまには、厚く御礼を申し上げます。